最近注目されている新しい発泡成形法について

 

近年、マイクロセルラープラスチックと呼ばれる、新しい発泡体が注目を浴びている。

@マイクロセルラープラスチックとは何か?
 マイクロセルラープラスチックとは、従来の構造発泡体と比較し、発泡セル直径が、約1/10倍小さく、発泡セル密度が非常に高い発泡体をいう。

 

 

Aマイクロセルラープラスチックの歴史的背景
 マイクロセルラープラスチックは、MITのN.P.Suhらにより、開発された技術である。現在に至っては、アメリカのTrexel社が、そのMIT特許を所有し、実用的な創業を目指している。また、日本においては、1999年に、JSW(株)他が、Trexel社の特許ライセンスを取得し、マイクロセルラープラスチック用のシステムの販売を行っている。

 

 

Bマイクロセルラーをつくる成形技術
 マイクロセルラープラスチックは、超臨界流体を用いて、製造される。超臨界流体とは、ある圧力、ある温度以上の流体で、流体と気体との中間体である。超臨界流体は、液体の溶媒特性と、気体の流動性・拡散性を備え持つ流体で、食品分野においては、成分の抽出や分離などに利用されている。
マイクロセルラープラスチック製造システムの概略図を示す。射出成形機のバレル外部から、炭酸ガスや窒素等の超臨界流体を注入し、樹脂と混練・溶解させ、発泡体を得る。

 

 

Cマイクロセルラープラスチックの特長と応用分野
(特徴)
1 製品の剛性・強度を保持したまま、発泡させることができる。
2 超臨界流体が樹脂に溶解することにより、樹脂の粘度が低下し、流動性が向上する。
3 成形機型締め力、射出圧力を低減できる。
4 成形サイクルを短縮できる。
5 化学発泡剤やフロン等を使用しないため、環境への負荷が小さい。

 発泡セルの大きさが、非常に小さいため、製品の剛性を保持したままで、発泡させることが可能とされる。つまり、軽量かつ高強度な製品を得ることができるため、あらゆる分野への応用が期待される。
また、樹脂流動性の向上や成形サイクル短縮の観点から、従来発泡成形では困難な、薄肉、大型成形品への展開が考えられる。

 

 

Dマイクロセルラープラスチックの応用事例(Trexel社カタログより)

 

 

 

以上。